各年齢ステージにおけるムシ歯予防

ムシ歯予防はお母さんのお中に居る時から始まっています。

歯の形ができるのは妊娠3ヶ月ぐらいの胎児のころからです。
最初に生える永久歯もすでに芽ができ始めています。
つまり妊娠に気がついたら子供のムシ歯予防は始まっているのです。
まず妊娠に気づいたら、できるだけ早い時期に歯の健康診断を受けご自身のムシ歯や歯周病を治し口腔内を健康な状態にしましょう。
お母さんの口の中から虫歯菌は移る可能性が一番高いので,まずは妊娠中からお口の健康に気をつけることが子供の歯を守る第一歩です。
ムシ歯の要因はいろいろありますが、歯の抵抗性を増すことが大切です。母親の栄養摂取不足から胎児の歯や骨に影響しないように健康に注意しなくてはいけません。
妊娠中は特にバランスのとれた食事をとって健康な強い歯ができるように努めてください。
妊娠中は色々と口腔内が不潔になりやすく、ホルモンの影響で歯周病原菌も増加しやすくなりますので,ムシ歯や歯周病(歯槽膿漏)も進行しやすくなります。
専門家(歯科医師や衛生士)のアドバイスを受け清潔で健康な口腔内を維持することが,母親はもちろんのこと生まれてくる子供のカリエスリスク(ムシ歯になる危険性)を下げることになります。 


消化器の成長の問題もあり、決して断乳は焦らないこと。

出来るだけ母乳が良く、哺乳ビンを使う場合は安易な吸い易いタイプは避けましょう。
これは口の周りの筋肉や舌の使い方の練習、鍛錬にもつながります。
味覚形成の基礎は離乳期です。離乳期からの食生活が食べ物の好き嫌いにつながります。
できるだけ多くの種類の味、食物を体験させ、薄味で育て、甘党にしないようにしてください。


1歳半までは、哺乳ビンムシ歯に特に注意してください。

子どもを寝かしつける時に哺乳ビンにミルクやスポーツドリンク、乳酸菌飲料、ジュースなどを入れて飲ませると、そのままでは、寝ている時は唾液があまり出なくなりますので、乳歯の前歯がボロボロになってしまう様にムシ歯が出来ます。これが哺乳ビンムシ歯です。
哺乳ビンをくわたまま眠らすことは絶対にしないようにしてください!


生後19〜36ヶ月は最もムシ歯菌が住み着きやすい!( 専門的用語: window of infectivity )

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいませんが、乳歯が生えてくると、生後19〜36ヶ月の期間に虫歯菌が家族内、特にお母さんからの感染が多いことが解かってきました。
まず家族みんなが虫歯のない清潔な口を保つことが重要です。虫歯菌(特にミュータンスレンサ球菌)は糖分を多く取ると他の細菌よりも歯に付着しやすくなりますので、この時期には特に甘いもの(飴や飲み物など)をだらだらと長い時間与えることはやめてください。
ミュータンスレンサ球菌が多く感染するとカリエスリスク(ムシ歯になる危険性)が高くなり、このままでは一生ムシ歯になりやすくなってしまいます。
しかも一度この状態を作りますと、良い環境にし直すことが(いわゆる除菌法:3DS)なかなか大変です。
現在では、キシリトールを長期間使用したり、PMTC法の後クロルヘキシジン製剤を使用したりと難しいのが現状です。


6才臼歯の萠出前後のポイント。

6歳臼歯は乳歯の奥に生えてくる最初の永久歯です。歯ブラシが届きにくく,歯垢(しこう:プラーク)がたまりやすくなります。
また耐酸性に劣り(石灰化がまだ十分できていないので)ムシ歯に非常になり易い時期です。
また形態的にも溝が深く複雑なので早くムシ歯になるのです。
6歳臼歯のむし歯予防には専門家の定期的(1年に3〜4回)な管理と、家庭において確実な歯ブラシが必要です。また,フッ素入りの歯磨材剤を正しく使用してください。
カリエスリスクの高い場合や異常に歯の溝が深く複雑な場合には予防的に蓋をする処置(専門的用語:シーラント処置)も考える必要があります。
年齢的にも自立行動が出来始め、小学校に上がりますと親の手綱も緩みがちです。
歯と歯の間磨き(糸磨き:フロッシング)は、年齢的にまだ無理がありますので寝る前の仕上げ磨きの後に必ず実行して下さい。
寝る前の仕上げ磨きの後にフッ素ジェルを使うと効果的です。


奥歯が永久歯に生え変わる時期(専門的用語: 側方歯群交換期)でのポイント。

乳歯から永久歯に生え変わる時期は特に定期健診が必要です。
学校健診で問題があればもちろん,「ムシ歯なし」と言われても定期健診は健康な口腔を維持するためには必ず必要です。
生えはじめの永久歯は石灰化が弱いのでフッ素塗布の効果が大きいと考えられます。
歯並びのチェックもこの時期は受けてください。
規則正しい食生活と正しい歯磨きをこの時期に覚えましょう!


思春期(受験時期で夜が遅い、食生活の乱れ、親の言う事を聞かない)でのポイント。

 永久歯が全部生えそろうのは12歳ごろです。それ以降の思春期の時期は人生の中でカリエスリスク(ムシ歯になる危険性)が一番高くなる時期といってもいいかもしれません。
永久歯はまだ十分硬く(石灰化する)なっていません。
親の言うことはあまり聞かなくなりますし、受験時期では食生活が乱れがちにになってしまいます。
小学生のうちは行っていた定期健診も部活や勉強などの理由で行かなくなってしまう事が多くなります。
友達同士での買い食い、夜食、ダラダラ飲み・食いも多いようです。いろいろな悪条件が重なります。この時期にはムシ歯の問題また健康な口を維持することを自分自身のものと理解させる必要があります。
やはり定期健診を受け自分自身のカリエスリスク(ムシ歯になる危険性)を理解し専門家のアドバイスを受けてください。
リスクの高い人でも適切な予防処置でムシ歯は防げます。


成人でのポイント。

ムシ歯予防だけでなく、歯周病(シソウノウロウ:歯槽膿漏)にも注意を払う必要が出てきます。
歯周病菌の異性(パートナー)からの感染を示唆する報告も有ります。
歯周病の進行は、タバコの問題も含んでいます。
ストレス社会の現代、精神・神経系の病気に気を付けましょう。薬の副作用で唾液の分泌が下がってきてムシ歯が出来やすくなります。


中年期でのポイント。

30歳から50歳までは国民の口腔内の調査(歯科疾患実態調査)から見るとムシ歯の数はそれほど増加しないような時期です。
しかし,安心はできません。
この時期は治療した歯が古くなりどんどん悪くなり失われる場合が多いのです。
30歳までになるべく歯を削らないようにしなければいけません。
この時期はムシ歯とともに歯周病の進行にも注意が必要です。
40歳以降とくに50歳を越えると急激に歯を失ってくる人が多いのです。
30歳代で歯周病が進行している人は歯周病のリスク(危険性)の高い人ですので,特に注意が必要です。
歯周病は初期の内に完全に治療し、健康な状態を維持するために定期的な歯科検診を受けなければいけません。
ムシ歯と歯周病の予防のためにやはり定期的な歯科健診が必要です。
期間は個人個人のリスクによりますが,リスクの少ない人でも半年に1回は必要でしょう。


壮年期でのポイント。

50歳以降は加齢とともにムシ歯と歯周病のリスクも増加してきます。
加齢に伴って唾液の分泌量が低下してきます。
また,高血圧や糖尿病などの慢性疾患の治療薬の副作用により唾液分泌が減少する場合が多く見られます。
口が渇くためにノド飴や糖分の入った飲み物を多く取るために急にムシ歯ができてくることがあります。
この時期には唾液の分泌量のチェックが必要です。
薬の服用により口が渇きやすければ薬を変更することも考えて担当医に御相談ください。
この時期のムシ歯予防にもフッ素は有効です。
フッ素による再石灰化の促進と脱灰の抑制効果により歯根部分のムシ歯予防に効果が期待できます。
毎日フッ素入りの歯磨剤を使用してください。
歯周病も年齢が増せばますほど悪化する可能性が高くなっていきます。ムシ歯も歯周病も急激に悪化する可能でがありますので何かの症状があった場合すぐに歯科医院に相談ください。
予防を確実にするためには定期的に歯科医院を訪れて唾液の分泌量を含め口腔内のチェックを受けてください。


老年期でのポイント。

体に御不自由が出始め、お口の手入れがなかなか上手に行かなくなってきます。
プロフェッショナルな予防処置を定期的に受けましょう。

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