3DSの理論
元:国立感染症研究所(現:鶴見大歯学部教授):花田教授の解説より
虫歯の主要な原因菌であるミュータンス菌(Mutans Streptococciなど)は、
通常の連鎖球菌(レンサキュウキン)とは違って、歯だけに付着して増殖するという性質があるため、
歯の面に付いた主要なウ蝕原性菌だけに抗菌剤を使用することができれば、常在性の連鎖球菌を損なわずに
ミュータンス菌だけを選択的に減少させることが期待できます。
しかしミュータンス菌は、バイオフィルムという粘着質な細菌膜を歯の上に形成して、
飲み薬や塗り薬が直接効かない環境を作っており、また口腔内に投与された薬は
すぐに唾液により希釈・除去されてしまいます。
そこでこの3DSでは、歯科医師・歯科衛生士らにより専門的な技術と器具を用いた
歯面清掃処理(PMTC:プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)などを行って
完全にバイオフィルムを除去した後に、歯の列にフィットしたカバー(ドラッグリテーナー)を用いて
抗菌剤やフッ化物を一定時間歯面のみに塗布します。
この方法は、唾液で希釈されることなく、安全かつ確実に抗菌剤やフッ化物などの薬を
歯牙硬組織のみに輸送・塗布することが可能で、これからのむし歯予防治療として期待されています。