各年齢ステージにおける虫歯予防(1歳~6歳)

〇1歳半までは、哺乳ビン虫歯に特に注意してください!

子どもを寝かしつける時に哺乳ビンにミルクやスポーツドリンク、乳酸菌飲料、ジュースなどを入れて飲ませると、

そのままでは、寝ている時は唾液があまり出なくなりますので、乳歯の前歯がボロボロになってしまう様に

虫歯が出来ます。これが哺乳ビン虫歯です。
哺乳ビンをくわたまま眠らすことは絶対にしないようにしてください!

 

〇生後19~36ヶ月は最もムシ歯菌が住み着きやすい!

( 専門的用語: window of infectivity )

 

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいませんが、乳歯が生えてくると、生後19~36ヶ月の期間に虫歯菌が

家族内、特にお母さんからの感染が多いことが解かってきました。
まず家族みんなが虫歯のない清潔な口を保つことが重要です。虫歯菌(特にミュータンスレンサ球菌)は糖分を

多く取ると他の細菌よりも歯に付着しやすくなりますので、この時期には特に甘いもの(飴や飲み物など)を

だらだらと長い時間与えることはやめてください。
ミュータンスレンサ球菌が多く感染するとカリエスリスク(ムシ歯になる危険性)が高くなり、

このままでは一生虫歯になりやすくなってしまいます。
しかも一度この状態を作りますと、良い環境にし直すことが(いわゆる除菌法:3DS)なかなか大変です。
現在では、キシリトールを長期間使用したり、PMTC法の後クロルヘキシジン製剤を使用したりと難しいのが現状です。

 

〇6才臼歯の萠出前後のポイント

6歳臼歯は乳歯の奥に生えてくる最初の永久歯です。歯ブラシが届きにくく、歯垢(しこう:プラーク)が

たまりやすくなります。
また耐酸性に劣り(石灰化がまだ十分できていないので)ムシ歯に非常になり易い時期です。
また形態的にも溝が深く複雑なので早く虫歯になるのです。
6歳臼歯の虫歯予防には専門家の定期的(1年に3~4回)な管理と、家庭において確実な歯ブラシが必要です。

また、フッ素入りの歯磨材剤を正しく使用してください。
カリエスリスクの高い場合や異常に歯の溝が深く複雑な場合には予防的に蓋をする処置(専門的用語:シーラント処置)

も考える必要があります。
年齢的にも自立行動が出来始め、小学校に上がりますと親の手綱も緩みがちです。
歯と歯の間磨き(糸磨き:フロッシング)は、年齢的にまだ無理がありますので寝る前の仕上げ磨きの後に

必ず実行して下さい。
寝る前の仕上げ磨きの後にフッ素ジェルを使うと効果的です。

各年齢ステージにおける虫歯予防

ムシ歯予防はお母さんのお中に居る時から始まっています。

歯の形ができるのは妊娠3ヶ月ぐらいの胎児のころからです。
最初に生える永久歯もすでに芽ができ始めています。
つまり妊娠に気がついたら子供の虫歯予防は始まっているのです。

まず妊娠に気づいたら、できるだけ早い時期に歯の健康診断を受けご自身の虫歯や歯周病を治し

口腔内を健康な状態にしましょう。
お母さんの口の中から虫歯菌は移る可能性が一番高いので,まずは妊娠中からお口の健康に

気をつけることが子供の歯を守る第一歩です。
虫歯の要因はいろいろありますが、歯の抵抗性を増すことが大切です。母親の栄養摂取不足から

胎児の歯や骨に影響しないように健康に注意しなくてはいけません。
妊娠中は特にバランスのとれた食事をとって健康な強い歯ができるように努めてください。
妊娠中は色々と口腔内が不潔になりやすく、ホルモンの影響で歯周病原菌も増加しやすくなりますので、

虫歯や歯周病(歯槽膿漏)も進行しやすくなります。
専門家(歯科医師や衛生士)のアドバイスを受け清潔で健康な口腔内を維持することが、

母親はもちろんのこと生まれてくる子供のカリエスリスク(ムシ歯になる危険性)を下げることになります。

 

消化器の成長の問題もあり、決して断乳は焦らないこと。

出来るだけ母乳が良く、哺乳ビンを使う場合は安易な吸い易いタイプは避けましょう。
これは口の周りの筋肉や舌の使い方の練習、鍛錬にもつながります。
味覚形成の基礎は離乳期です。離乳期からの食生活が食べ物の好き嫌いにつながります。
できるだけ多くの種類の味、食物を体験させ、薄味で育て、甘党にしないようにしてください。

リカルデント(予防歯科)

牛乳タンパク質から作られた新しい抗う蝕性物質・リカルデンTM( CCP-ACP)が入ったガムが

2000年5月15日に発売になりました。

牛乳タンパク質から作られた抗う蝕性物質「リカルデント」について。
リカルデント(CPP-ACP)は、オーストラリア・メルボルン大学歯学部教授 エリック・C・レイノルズ博士の

20年に渡る研究とオーストラリア最大の乳製品メーカーであるボンラック フーズ リミテッド社との

研究・開発の末に生まれた新しい画期的な成分です。

 

CCP:カゼインホスホペプチド、牛乳タンパク質を酵素で消化したリン酸ペプチド
ACP:非結晶性リン酸カルシュウム
リカルデント(CPP-ACP):リン酸カルシュウムを沈殿させないで過飽和の状態にするユニークな機能を有し、

人や動物実験で歯牙表面に局在している自然発生したう蝕を抑制し、再石灰化することが確認されています。
特徴的なのは、歯面=エナメル質の内側まで透過し、再石灰化=う蝕を修復させる事です。
リカルデント(CPP-ACP)は、キシリトールのような代替甘味料ではありません。つまり、直接エナメル質表層下まで

浸透し、初期う蝕を内部から修復させるという点において区別されます。
リカルデントガムは、キシリトールを糖質中50%含んでいます。

健康なラットにう蝕原生菌(虫歯をおこすバイ菌)を経口感染させ、その歯牙に各種濃度のリカルデント溶液と

500ppmのフッ素溶液との組み合わせを作り、抗う蝕効果を検討した。
1%のリカルデント溶液では55%のう蝕抑制効果が認められた。
リカルデント単体で使うよりも、フッ素も併用した方がより効果が高いと期待できる。

●リカルデント(CPP-ACP)の修復作用は約3時間と言われています。
●歯垢(プラーク=歯糞)中にもリカルデント(CPP-ACP)は、取り込まれる。(注:Eric C Reynolds 博士談)
●リカルデント(CPP-ACP)を使っていると歯石が多く出来ることは無い。(注:Eric C Reynolds 博士談)

 

問題点:
●ミルクアレルギーのある方は、アレルギー症状が出ることもあります。
●現在は、ガムの形でのみ供給されているので義歯が入っている人には噛みにくいと思われます。
●ガムの成分中、甘味料としてキシリトールがある程度入っているのは大変好ましいのですが、

残りの成分にアスパルテームが入って点が気になります。
●今までに無い、確かに良く考えられた製品ではありますが、低年齢者が常時使うことは、

甘いものを好む体質に繋がって行きますので程ほどに。
●当然、この製品だけで虫歯予防は、不可能であることをお忘れなく!
●修復作用は、初期のう蝕に限ります。大きい穴の開いたウ窩(虫歯の穴)は治療の対象となります。

 

付記:

アメリカ、ヨーロッパでは既に” Trident Advantage,Trident for Kids ”の商標名で販売されています。
但し、成分配合比や味は日本向けにアレンジされているようです。
参考にリカルデントの製品情報の載っているURLを記しておきます。

http://www.recaldent-gum.com/

http://www.recaldent.com/

http://www.adams-jp.com/

虫歯になりにくい食べ物を選択する上での注意点(虫歯予防)

キシリトールガムで虫歯予防のしくみは、お解かりいただけたと思います。
それでは、ガム以外のものも虫歯になりにくい食べ物を選びたいという方に、
注意すべき点を挙げておきます。
あなた自身が鋭い視点をもって食べるものを選ぶことができれば、
キシリトールはいままでの何倍も役に立つことでしょう。

 

その1 「キシリトール入り」「砂糖不使用」の文句に注意!!
甘味料はキシリトールと砂糖以外にもたくさんあります。
その中には当然虫歯の原因になるもの(例えば水飴・麦芽糖・果糖)もあります。
キシリトールが入っていても砂糖などが入っているもの、砂糖が入っていなくても
麦芽糖などがはいっているものはたくさんあるのです。
キシリトールか他の糖アルコール(マルチトース・ソルビトールなど)
100%であることを確認しましょう。
キシリトール100%を選ぶ! これが重要です

 

その2 甘味料以外でも、虫歯を作る成分が入っていないかを調べる
甘味料以外で虫歯を作るものに粉乳・乳化剤・香料などがあります。
つい最近「歯医者さんが考案した虫歯になりにくい、キシリトール100%の
チョコレート」というのが発売されていました。
しかし粉乳が含まれていることなどから、このチョコレートは甘味料が
キシリトール100%であっても、虫歯の原因にはなります。
やっぱりそんなに甘くはないのです!

 

その3 まぎらわしい表記にだまされないように
「虫歯になりにくい」・「歯に優しい」・「歯に安心」・「虫歯予防に」
などのまぎらわしいキャッチフレーズが記載された食品が数多くありますが、
必ずしも科学的根拠に基づいているものばかりではないので、
その表現に惑わされないでください。

 

その4 日本トゥースフレンドリー協会の「歯に信頼」マークを見つける
日本トゥースフレンドリー協会という団体があります。
そこで虫歯にならないことをしっかり確かめられたものだけに、
「歯に信頼」マークというものがつけられています。

このマークのついたお菓子は協会の厳しい基準をクリアしたものなので、
虫歯の原因にはならないそうです。
皆さんこのマーク知っていましたか?
ぜひお店で探してみてください。

というのもキシリトールについては特にいろいろな情報が
溢れかえっているのに、あまりに正しいことが皆さんに伝わっていないと
いうことを痛感していたのでこのような企画をしてみようと思ったのです。

どこかできいたような、納豆=ダイエットみたいなものにキシリトールが
なってしまってはいけないし、皆さんが惑わされてもいけないのです。

 

キシリトールの上手な使い方(虫歯予防)

前回、説明したとおり、キシリトールの成分には虫歯予防の力はほとんどないのです。

例えば、歯磨き粉にキシリトールが含まれていても、その効果はほとんど無いのです。

ではどのような使い方が良いのでしょうか?
結論から申し上げると「キシリトール100%のガムを食後すぐに噛む」ことです。

これについてもう少し詳しく説明していきましょう。

ここでまず思い出していただきたいこと、それは

「虫歯菌は、食物が口の中に入ってきた瞬間から酸を出し、歯を溶かし始める」
「新鮮な唾液は虫歯菌が出した酸を中和し、さらに再石灰化を促進させるという
2大効果がある」

ということです。

 

つまり、唾液がたくさん出れば、虫歯予防になるのです。
では食事のあとすぐに新鮮な唾液をたくさん出すために私たちは
どうしたらよいのでしょうか?
それは「噛むこと」「甘味」という刺激を脳にあたえればよいのです。
噛むという行為や甘いと感じることは、脳に伝達され、
唾液の分泌を促進させるのです。
ただし甘味は虫歯の原因になるものではいけません。
キシリトール100%のガムはそれを全て満たしているのです!
キシリトールガムを食後すぐに噛むと、“噛む刺激”と“甘い刺激”で
活発に唾液が分泌されます。
その唾液は、虫歯菌から酸がたくさん放出され歯が溶け始めている環境を、
素早く中和し再石灰化を促進させるのです。

キシリトールガムの正しい使い方は、食べたら噛む!です。

キシリトールで虫歯は治る?(虫歯予防)

キシリトールは再石灰化を促進させるとも言われていますが、本当なのでしょうか?

虫歯菌の出す酸によって、歯の表面のハイドロキシアパタイトの結晶から
カルシウムなどが溶け出し結晶構造が崩れる現象を脱灰といいます。
(=虫歯のはじまり)

 

一度脱灰がおきても初期段階であれば、新鮮な唾液に触れることによって、
唾液中のリン酸やカルシウムがそこに再び沈着して結晶の
ミネラル成分が回復します(=虫歯部分の修復)
この現象を再石灰化といいます。

 

ではキシリトールはどうかというと、脱灰したところの再石灰化を促進させるという
報告もありますが、実はこの作用はあまりにも小さいのです。
砂糖によって虫歯ができる力を100とすると、キシリトールが再石灰化する力は
0.1位なのだそうです。
つまり残念ながら再石灰化力は無いに等しいということなのです。

キシリトールを歯に塗りつけても効果はありません。

キシリトールとは(虫歯予防)

巷ではキシリトールの話題が取り上げられ、また、虫歯を作らない・再石灰化を
促進するという謳い文句で様々な製品(食品)が売られていますが、
皆さんはどんな風に使っていますか?

ところでキシリトールって一体何なのでしょうか?
フッ素とは違うものなのでしょうか?
そして商品に書かれた宣伝はどこまで真実なのでしょうか?

今回は、そのような疑問を解決し、効果的に使っていただくために
キシリトール特集でいきたいと思います。

 

初めにキシリトールとは…

キシリトールは甘味料の一種で、糖アルコール(ブドウ糖・麦芽糖などに水素を
加えて還元したもの)という分類になります。
糖アルコールは他にソルビトール・マルチトース・エリスリトール・マンニトール
などがありますが、そのなかでもキシリトールが最も甘さが強く、
砂糖と同じくらいだそうです。
キシリトールは過去には白樺や樫の樹液に含まれる物質を使用して製造されて
いましたが、今ではそのほとんどが、とうもろこしの芯から工業的に作られています。

ですから、キシリトール=天然の甘味料というイメージが強いのですが、
実際には人工甘味料なのです。
安全性においては世界的にも認められており安心して使用できます。

 

キシリトールはなぜ虫歯の原因にならないの?

一般的に砂糖と呼ばれるショ糖をはじめ、果糖・乳糖・麦芽糖などの糖類を、
虫歯菌は取り込み、かわりに歯を溶かしてしまう酸を産生します。
しかし、糖アルコールは、虫歯菌が取り込んでも、酸を出さないのです。
そのため歯は溶けないのです。
つまり、キシリトールを代表とする糖アルコールは虫歯を作らない甘味料で
あるということです。

キシリトール=“甘いけど虫歯にならないもの”

これが、キシリトールなのです。

 

 

フッ素の有効性と使い方(虫歯予防)

フッ素はどうでしょう?
まずフッ素の有効性から説明します。
虫歯で歯が溶けるのは、まず、菌の出した酸のHイオンが歯の成分である
Caイオンと入れ替わることで起こります。
歯からCaイオンが出ていくことで、歯は崩れて(欠けて)いくのです。
しかしF(フッ素)イオンが歯の表面をコーティングしてHイオンを
はね返すことで、歯が溶けずに済むのです。

中にはフッ素は危険だと思っている方もいますが、それは誤解です。
昔、日本でも虫歯予防のために水道水にフッ素を添加していた時期があり、
過剰摂取になって副作用がでたことがありましたが、
今ではそのようなことは行われていません。
日常生活のなかではフッ素による害がでることは滅多にありません。

つまり、フッ素はきちんと使えば、虫歯予防にとても有効なお薬なのです。

 

次に使い方ですが、フッ素含有の歯磨き粉を使うのが手軽で長続きすると思います。
歯磨き粉にフッ素が含有してある製品はたくさんあります。
これらの製品は厳密にはフッ化物が添加されています。
フッ化○○○とかフルオロ○○○という形で記載してあり
1000ppmが最高限度の濃度です。

そして歯磨きが終わったら、すすぎを軽くするのがポイントです。
これはフッ素が流れ落ちてしまわないようにするためです。
少し気持ち悪い気がされるかもしれませんが、歯磨きした後に少量の水
(おちょこ2杯くらいの量)で短時間すすいだら、吐き出すようにします。

歯磨き後にフッ素ジェルを塗布する方法もあります。
こちらは塗りつけたあとにうがいはしません。
年齢が低く、うがいのできない子供さんにはこちらのほうが向いているでしょう。

特に夜寝る前の歯磨きのときにこれを行うと非常に効果的です。
寝ている間、しっかりとフッ素コーティングされるのです。
ただしこのコーティングは永久的ではありません。
使い続けてこそ効果も続くのです。

虫歯菌を移さない工夫(その他の注意点)

虫歯菌を移さない工夫を、いくつかあげましたが、その他にも注意することは、

遊び仲間からの感染にも配慮が必要です。

兄弟やお友達、お箸、食器、オシャブリ等お子さんが直接触れる可能性のある物は

気を付けましょう。

 

乳幼児の行動パターンは種種雑多で複雑です。特に歯は色々な使い方がされています。
組み合わせのオモチャを歯を使ってはずすとか。その他の接するチャンスのある物達、

玩具、道具など全て。

ペットからも虫歯菌が伝播した報告もありますので注意が必要です。
子供相手にディープキッス(?)は無いと思いますが、気をつけて下さいネ。

 

乳幼児は、自ら考えて虫歯予防のために管理出来ないので、お母さんなど周りの保育者が

気を付けなければなりません。
お子さんと接する時は、良く歯磨きして、お口の中もきれいにしてから接してあげて下さい。
ご自分達で、この他にも色々考えることが出来るかと思います、要はいかに清潔に

保ってあげるかと言うことです。

虫歯菌を移さない工夫(歯ブラシ)

歯ブラシの管理はいかがですか?

お口の中の微生物をブラシを使って除去するのが歯磨きですが、
その歯ブラシ自体が汚い微生物だらけであったならば!
コップの中に、仲良く2本歯ブラシが入っていて、歯ブラシ同士がくっ付いています。
→虫歯菌を移します。
歯ブラシが、逆さまに入っていると湿めり気でカビが生えそう。
→虫歯菌を増やします。 理想的な管理方法を考えてみて下さい。

 

保育者が、お子さんの歯磨きをする時は
出来るだけ、お子さんの方を優先させてあげて下さい。
先ず、手を良く洗いましょう。

この逆ですと、保育者が歯磨きをした後なので、手には保育者の唾液がたっぷり付いている。
しかも、虫歯菌が多い人だったら、 その虫歯菌のたっぷり入った唾液が、保育者の手から

子供の歯ブラシを伝わって、口の中へ!!

コップも別にしてください。

 

ページトップへ