ムシ歯予防はお母さんのお中に居る時から始まっています。
歯の形ができるのは妊娠3ヶ月ぐらいの胎児のころからです。
最初に生える永久歯もすでに芽ができ始めています。
つまり妊娠に気がついたら子供の虫歯予防は始まっているのです。
まず妊娠に気づいたら、できるだけ早い時期に歯の健康診断を受けご自身の虫歯や歯周病を治し
口腔内を健康な状態にしましょう。
お母さんの口の中から虫歯菌は移る可能性が一番高いので,まずは妊娠中からお口の健康に
気をつけることが子供の歯を守る第一歩です。
虫歯の要因はいろいろありますが、歯の抵抗性を増すことが大切です。母親の栄養摂取不足から
胎児の歯や骨に影響しないように健康に注意しなくてはいけません。
妊娠中は特にバランスのとれた食事をとって健康な強い歯ができるように努めてください。
妊娠中は色々と口腔内が不潔になりやすく、ホルモンの影響で歯周病原菌も増加しやすくなりますので、
虫歯や歯周病(歯槽膿漏)も進行しやすくなります。
専門家(歯科医師や衛生士)のアドバイスを受け清潔で健康な口腔内を維持することが、
母親はもちろんのこと生まれてくる子供のカリエスリスク(ムシ歯になる危険性)を下げることになります。
消化器の成長の問題もあり、決して断乳は焦らないこと。
出来るだけ母乳が良く、哺乳ビンを使う場合は安易な吸い易いタイプは避けましょう。
これは口の周りの筋肉や舌の使い方の練習、鍛錬にもつながります。
味覚形成の基礎は離乳期です。離乳期からの食生活が食べ物の好き嫌いにつながります。
できるだけ多くの種類の味、食物を体験させ、薄味で育て、甘党にしないようにしてください。
牛乳タンパク質から作られた新しい抗う蝕性物質・リカルデンTM( CCP-ACP)が入ったガムが
2000年5月15日に発売になりました。
牛乳タンパク質から作られた抗う蝕性物質「リカルデント」について。
リカルデント(CPP-ACP)は、オーストラリア・メルボルン大学歯学部教授 エリック・C・レイノルズ博士の
20年に渡る研究とオーストラリア最大の乳製品メーカーであるボンラック フーズ リミテッド社との
研究・開発の末に生まれた新しい画期的な成分です。
CCP:カゼインホスホペプチド、牛乳タンパク質を酵素で消化したリン酸ペプチド
ACP:非結晶性リン酸カルシュウム
リカルデント(CPP-ACP):リン酸カルシュウムを沈殿させないで過飽和の状態にするユニークな機能を有し、
人や動物実験で歯牙表面に局在している自然発生したう蝕を抑制し、再石灰化することが確認されています。
特徴的なのは、歯面=エナメル質の内側まで透過し、再石灰化=う蝕を修復させる事です。
リカルデント(CPP-ACP)は、キシリトールのような代替甘味料ではありません。つまり、直接エナメル質表層下まで
浸透し、初期う蝕を内部から修復させるという点において区別されます。
リカルデントガムは、キシリトールを糖質中50%含んでいます。
健康なラットにう蝕原生菌(虫歯をおこすバイ菌)を経口感染させ、その歯牙に各種濃度のリカルデント溶液と
500ppmのフッ素溶液との組み合わせを作り、抗う蝕効果を検討した。
1%のリカルデント溶液では55%のう蝕抑制効果が認められた。
リカルデント単体で使うよりも、フッ素も併用した方がより効果が高いと期待できる。
●リカルデント(CPP-ACP)の修復作用は約3時間と言われています。
●歯垢(プラーク=歯糞)中にもリカルデント(CPP-ACP)は、取り込まれる。(注:Eric C Reynolds 博士談)
●リカルデント(CPP-ACP)を使っていると歯石が多く出来ることは無い。(注:Eric C Reynolds 博士談)
問題点:
●ミルクアレルギーのある方は、アレルギー症状が出ることもあります。
●現在は、ガムの形でのみ供給されているので義歯が入っている人には噛みにくいと思われます。
●ガムの成分中、甘味料としてキシリトールがある程度入っているのは大変好ましいのですが、
残りの成分にアスパルテームが入って点が気になります。
●今までに無い、確かに良く考えられた製品ではありますが、低年齢者が常時使うことは、
甘いものを好む体質に繋がって行きますので程ほどに。
●当然、この製品だけで虫歯予防は、不可能であることをお忘れなく!
●修復作用は、初期のう蝕に限ります。大きい穴の開いたウ窩(虫歯の穴)は治療の対象となります。
付記:
アメリカ、ヨーロッパでは既に” Trident Advantage,Trident for Kids ”の商標名で販売されています。
但し、成分配合比や味は日本向けにアレンジされているようです。
参考にリカルデントの製品情報の載っているURLを記しておきます。
http://www.recaldent-gum.com/
http://www.recaldent.com/
http://www.adams-jp.com/
キシリトールガムで虫歯予防のしくみは、お解かりいただけたと思います。
それでは、ガム以外のものも虫歯になりにくい食べ物を選びたいという方に、
注意すべき点を挙げておきます。
あなた自身が鋭い視点をもって食べるものを選ぶことができれば、
キシリトールはいままでの何倍も役に立つことでしょう。
その1 「キシリトール入り」「砂糖不使用」の文句に注意!!
甘味料はキシリトールと砂糖以外にもたくさんあります。
その中には当然虫歯の原因になるもの(例えば水飴・麦芽糖・果糖)もあります。
キシリトールが入っていても砂糖などが入っているもの、砂糖が入っていなくても
麦芽糖などがはいっているものはたくさんあるのです。
キシリトールか他の糖アルコール(マルチトース・ソルビトールなど)
100%であることを確認しましょう。
キシリトール100%を選ぶ! これが重要です
その2 甘味料以外でも、虫歯を作る成分が入っていないかを調べる
甘味料以外で虫歯を作るものに粉乳・乳化剤・香料などがあります。
つい最近「歯医者さんが考案した虫歯になりにくい、キシリトール100%の
チョコレート」というのが発売されていました。
しかし粉乳が含まれていることなどから、このチョコレートは甘味料が
キシリトール100%であっても、虫歯の原因にはなります。
やっぱりそんなに甘くはないのです!
その3 まぎらわしい表記にだまされないように
「虫歯になりにくい」・「歯に優しい」・「歯に安心」・「虫歯予防に」
などのまぎらわしいキャッチフレーズが記載された食品が数多くありますが、
必ずしも科学的根拠に基づいているものばかりではないので、
その表現に惑わされないでください。
その4 日本トゥースフレンドリー協会の「歯に信頼」マークを見つける
日本トゥースフレンドリー協会という団体があります。
そこで虫歯にならないことをしっかり確かめられたものだけに、
「歯に信頼」マークというものがつけられています。
このマークのついたお菓子は協会の厳しい基準をクリアしたものなので、
虫歯の原因にはならないそうです。
皆さんこのマーク知っていましたか?
ぜひお店で探してみてください。
というのもキシリトールについては特にいろいろな情報が
溢れかえっているのに、あまりに正しいことが皆さんに伝わっていないと
いうことを痛感していたのでこのような企画をしてみようと思ったのです。
どこかできいたような、納豆=ダイエットみたいなものにキシリトールが
なってしまってはいけないし、皆さんが惑わされてもいけないのです。
前回、説明したとおり、キシリトールの成分には虫歯予防の力はほとんどないのです。
例えば、歯磨き粉にキシリトールが含まれていても、その効果はほとんど無いのです。
ではどのような使い方が良いのでしょうか?
結論から申し上げると「キシリトール100%のガムを食後すぐに噛む」ことです。
これについてもう少し詳しく説明していきましょう。
ここでまず思い出していただきたいこと、それは
「虫歯菌は、食物が口の中に入ってきた瞬間から酸を出し、歯を溶かし始める」
「新鮮な唾液は虫歯菌が出した酸を中和し、さらに再石灰化を促進させるという
2大効果がある」
ということです。
つまり、唾液がたくさん出れば、虫歯予防になるのです。
では食事のあとすぐに新鮮な唾液をたくさん出すために私たちは
どうしたらよいのでしょうか?
それは「噛むこと」「甘味」という刺激を脳にあたえればよいのです。
噛むという行為や甘いと感じることは、脳に伝達され、
唾液の分泌を促進させるのです。
ただし甘味は虫歯の原因になるものではいけません。
キシリトール100%のガムはそれを全て満たしているのです!
キシリトールガムを食後すぐに噛むと、“噛む刺激”と“甘い刺激”で
活発に唾液が分泌されます。
その唾液は、虫歯菌から酸がたくさん放出され歯が溶け始めている環境を、
素早く中和し再石灰化を促進させるのです。
キシリトールガムの正しい使い方は、食べたら噛む!です。
キシリトールは再石灰化を促進させるとも言われていますが、本当なのでしょうか?
虫歯菌の出す酸によって、歯の表面のハイドロキシアパタイトの結晶から
カルシウムなどが溶け出し結晶構造が崩れる現象を脱灰といいます。
(=虫歯のはじまり)
一度脱灰がおきても初期段階であれば、新鮮な唾液に触れることによって、
唾液中のリン酸やカルシウムがそこに再び沈着して結晶の
ミネラル成分が回復します(=虫歯部分の修復)
この現象を再石灰化といいます。
ではキシリトールはどうかというと、脱灰したところの再石灰化を促進させるという
報告もありますが、実はこの作用はあまりにも小さいのです。
砂糖によって虫歯ができる力を100とすると、キシリトールが再石灰化する力は
0.1位なのだそうです。
つまり残念ながら再石灰化力は無いに等しいということなのです。
キシリトールを歯に塗りつけても効果はありません。
巷ではキシリトールの話題が取り上げられ、また、虫歯を作らない・再石灰化を
促進するという謳い文句で様々な製品(食品)が売られていますが、
皆さんはどんな風に使っていますか?
ところでキシリトールって一体何なのでしょうか?
フッ素とは違うものなのでしょうか?
そして商品に書かれた宣伝はどこまで真実なのでしょうか?
今回は、そのような疑問を解決し、効果的に使っていただくために
キシリトール特集でいきたいと思います。
初めにキシリトールとは…
キシリトールは甘味料の一種で、糖アルコール(ブドウ糖・麦芽糖などに水素を
加えて還元したもの)という分類になります。
糖アルコールは他にソルビトール・マルチトース・エリスリトール・マンニトール
などがありますが、そのなかでもキシリトールが最も甘さが強く、
砂糖と同じくらいだそうです。
キシリトールは過去には白樺や樫の樹液に含まれる物質を使用して製造されて
いましたが、今ではそのほとんどが、とうもろこしの芯から工業的に作られています。
ですから、キシリトール=天然の甘味料というイメージが強いのですが、
実際には人工甘味料なのです。
安全性においては世界的にも認められており安心して使用できます。
キシリトールはなぜ虫歯の原因にならないの?
一般的に砂糖と呼ばれるショ糖をはじめ、果糖・乳糖・麦芽糖などの糖類を、
虫歯菌は取り込み、かわりに歯を溶かしてしまう酸を産生します。
しかし、糖アルコールは、虫歯菌が取り込んでも、酸を出さないのです。
そのため歯は溶けないのです。
つまり、キシリトールを代表とする糖アルコールは虫歯を作らない甘味料で
あるということです。
キシリトール=“甘いけど虫歯にならないもの”
これが、キシリトールなのです。
フッ素はどうでしょう?
まずフッ素の有効性から説明します。
虫歯で歯が溶けるのは、まず、菌の出した酸のHイオンが歯の成分である
Caイオンと入れ替わることで起こります。
歯からCaイオンが出ていくことで、歯は崩れて(欠けて)いくのです。
しかしF(フッ素)イオンが歯の表面をコーティングしてHイオンを
はね返すことで、歯が溶けずに済むのです。
中にはフッ素は危険だと思っている方もいますが、それは誤解です。
昔、日本でも虫歯予防のために水道水にフッ素を添加していた時期があり、
過剰摂取になって副作用がでたことがありましたが、
今ではそのようなことは行われていません。
日常生活のなかではフッ素による害がでることは滅多にありません。
つまり、フッ素はきちんと使えば、虫歯予防にとても有効なお薬なのです。
次に使い方ですが、フッ素含有の歯磨き粉を使うのが手軽で長続きすると思います。
歯磨き粉にフッ素が含有してある製品はたくさんあります。
これらの製品は厳密にはフッ化物が添加されています。
フッ化○○○とかフルオロ○○○という形で記載してあり
1000ppmが最高限度の濃度です。
そして歯磨きが終わったら、すすぎを軽くするのがポイントです。
これはフッ素が流れ落ちてしまわないようにするためです。
少し気持ち悪い気がされるかもしれませんが、歯磨きした後に少量の水
(おちょこ2杯くらいの量)で短時間すすいだら、吐き出すようにします。
歯磨き後にフッ素ジェルを塗布する方法もあります。
こちらは塗りつけたあとにうがいはしません。
年齢が低く、うがいのできない子供さんにはこちらのほうが向いているでしょう。
特に夜寝る前の歯磨きのときにこれを行うと非常に効果的です。
寝ている間、しっかりとフッ素コーティングされるのです。
ただしこのコーティングは永久的ではありません。
使い続けてこそ効果も続くのです。
歯磨きをするタイミング、道具と磨き方はわかりました。
ここであるデータを紹介しましょう。
一回の歯磨きで完全に細菌を除去しようと思うと、
なんと約40分(!)かかる、というのです。
毎回そこまでしなくても、虫歯や歯周病にはなりませんが、
1回1分では、やはり不十分です。
もちろんそれぞれの人によって虫歯の出来やすさ・歯の本数・歯並び等が 違いますので、
それぞれ必要な時間が異なります。
あくまで目安としてですが、しっかりとプラークを除去するには10分くらい必要です。
電動歯ブラシを上手に使用すれば、もう少し短縮できるでしょう。
うまく歯磨きの時間を作ってください。
例えば、テレビを見ている時間・湯船に浸かっている時間・本を読んでいる時間・・・
などなど、じっとしていて手が休んでいる時間を有効に使っていただいて、
歯磨きに充ててください。
できれば、時々は鏡を見て自分の口の中を観察してください。
そして体のちょっとした変化に早く気づいてあげてください。
それがご自身で体を守ることになるのです。
ブラッシングはみなさまの役割ホームケアの1つです。
ブラッシングをがんばりましょう。
基本は以下の①と②の併用です。
① 歯ブラシ もしくは 電動歯ブラシ
(表・裏・噛む面のプラークをとる道具)
② デンタルフロス ・ 歯間ブラシ 等
(歯と歯の間の細かい部分のプラークをとる道具)
① の、歯ブラシなのか電動歯ブラシなのかは、それぞれの人によって
異なりますので、歯科医院の指導をうけてください。
② の、デンタルフロス(糸楊枝)・歯間ブラシは、補助器具です。
補助といいますがこれらの器具は立派な主役で、どなたでも必須です。
日本人はこれら補助器具を使う習慣があまりありませんが、
欧米先進諸国では常識です。
フロスか歯間ブラシのどちらか、もしくは両方使うことになりますが、
これも適したものを選ぶために是非歯科医院のプロによる
個人指導を受けてください。
場所にポイントがあります。
・歯と歯ぐきの境目を磨くこと ⇒歯ブラシ・電動歯ブラシで!
・歯と歯の間を磨くこと ⇒フロス・歯間ブラシで!
決して強くこする必要はありませんが、虫歯も歯周病も、
この二つの部分から始まることが多いため重点的に磨かなければいけないのです。
歯と歯の間はふつうの歯ブラシでは磨けませんから補助器具を使わなければいけません。
ブラッシングの目的が分かったところで、
ではいつ磨けばいいのでしょうか?
まず、絶対に磨いて欲しいのは、寝る前です。
寝ている間は唾液が分泌されなくなりますので、
菌が活動しやすく非常に危険な時間帯です。
ですから、寝る前に細菌の数を減らしておくため、
そしてフッ素の効果を最大限に発揮するために、
寝る前のブラッシングは必須です。
重要なのは細菌を除去することですので、1回の歯磨きに時間をかけ、 プラークの除去がしっかりできるのであれば夜一回の歯磨きでも実は十分なのです。